概要
AWSの公式ブログ「AWS Machine Learning Blog」にて、Amazon Bedrock AgentCoreを活用してソフトウェアのアーキテクチャ図面(構成図)を自動生成・自動更新する仕組みが紹介されました。金融関連の実企業での本番運用事例も紹介されており、コードベースの変化に追従できないドキュメント管理の課題に対する具体的な解決策として位置づけられています。
何が発表・更新されたのか
今回の記事では、Amazon Bedrock AgentCore上で動作する自律型エージェントが、.NET(C#)のコードベースを解析し、アーキテクチャ図(Mermaid形式やSVG形式)を自動生成する仕組みが解説されています。具体的には以下のAWSサービスを組み合わせています。
- Amazon Bedrock AgentCore:エージェントの実行環境(サーバーレス)を提供し、ライフサイクル管理やスケーリングを担当
- AWS CodePipeline / AWS CodeBuild:コードのコミットをトリガーに、ドキュメント生成の一連の処理を自動実行
- Amazon S3:生成された図面(SVG・Mermaidソース・メタデータ)の保存、およびドキュメントサイトのホスティング
- Amazon Bedrock Knowledge Bases:Amazon Titan Text Embeddingsモデルを使い、生成された図面やその説明を検索可能な形に変換し、自然言語での検索(セマンティック検索)を実現
エージェントはコードの変更内容を解析し、図面のシンタックスを検証しながら自己修正(self-correction)を行う「反復的な精緻化」の手法を採用している点が特徴です。この仕組みは、大手インターディーラー・ブローカー(金融市場向け取引仲介企業)と共同で開発・検証され、公式情報によると2026年第1四半期(Q1 2026)から電子取引プラットフォームのアーキテクチャドキュメント管理のために本番運用されているとのことです。
なぜ重要なのか
ソフトウェア開発において、アーキテクチャ図は開発チーム内の認識共有やオンボーディング、コンプライアンス監査などに欠かせません。しかし手作業での作成・更新は工数がかかり、コードの変更速度に追いつけず、数週間で実態と乖離してしまうケースが多く見られます。今回紹介された仕組みは、コードのコミットをトリガーに図面生成・検証・公開までをパイプライン化することで、この「ドキュメントの陳腐化」という長年の課題に対する自動化アプローチを示している点で注目されます。
誰に関係があるのか
- 大規模なコードベースを保有し、アーキテクチャドキュメントの維持に課題を感じている開発チーム
- マイクロサービス構成など、サービス間の依存関係の可視化が重要なシステムを運用する企業
- コンプライアンス監査や社内のシステム引き継ぎのために最新のドキュメントを必要とする組織
- AWS環境(CodeCommit、CodePipeline、Bedrockなど)を活用している開発・インフラ担当者
仕事や業務でどう使えるのか
自社のCI/CDパイプラインに同様の仕組みを組み込むことで、コードの変更に合わせてアーキテクチャ図を自動更新し、常に最新のドキュメントを維持できる可能性があります。また、Amazon Bedrock Knowledge Basesとの連携により、「〇〇の処理フローはどうなっているか」といった自然言語での質問から該当する図面や説明を検索できるようになり、新規メンバーのオンボーディングや監査対応の効率化にもつながると考えられます。ただし、記事で紹介されている実装は.NET(C#)コードベースを対象としたものであり、他言語への適用には別途の検証が必要です。
注意点
本記事はAWSの技術ブログであり、特定の金融サービス企業との共同開発事例を紹介する内容です。公式情報上では、日本での提供状況や対象プランの詳細、利用料金については確認できませんでした。また、紹介されている実装例は.NETコードベースを前提としたものであり、モデルの利用可否はAWSのリージョンによって異なる(Bedrockのモデルのリージョン対応表を参照する必要がある)と明記されています。導入を検討する場合は、公式ドキュメントで最新のリージョン対応状況やサービス構成を確認することをおすすめします。
公式情報
関連キーワード
- Amazon Bedrock AgentCore
- AWS CodePipeline
- Amazon Bedrock Knowledge Bases
- Mermaid(図面記法)
- AIエージェント
- RAG(検索拡張生成)





