概要
AWSは2026年8月6日(公開日)、AWS Machine Learning Blogにて「Amazon Bedrock AgentCore」の新機能を発表しました。AIエージェント(自律的にタスクを進めるAIシステム)の「行動の連続性」と「消費コスト」を制御するための仕組みとして、「一時的ポリシー(temporal policies)」と「レート制限(rate limiting)」が追加されています。
何が発表・更新されたのか
Amazon Bedrock AgentCoreは、AIエージェントを構築・接続・最適化するための管理基盤です。今回新たに追加されたのは以下の2つの機能です。
1つ目は「一時的ポリシー」です。これはAgentCoreのゲートウェイ(MCPサーバーやLLM、エージェント、ナレッジベースへのリクエストをルーティングする、フルマネージドのサーバーレス入口)に組み込まれる機能で、1回ごとの操作ではなく「操作の連なり(シーケンス)」を評価します。たとえば、あるセッション内でエージェントが使った金額を積算し、個々の購入が上限額以下でも合計が予算を超えたら次の購入を拒否する、といった制御が可能になります。この機能を支えるのが、新しいオープンソースのポリシー言語「Dogwood」です。既存の認可言語「Cedar」を基盤に、レート制限・時間枠・前提条件となるステップ・エスカレーショントリガーといった「時間的な制約」を扱えるように拡張されており、Apache 2.0ライセンスの仕様+リファレンス実装として公開されています。
2つ目は「ゲートウェイでのレート制限」です。OAuthやIAMで管理しているユーザーIDを基準に、リクエスト数・トークン処理量・接続の保持時間という3つの指標で、ユーザーごとの消費上限を秒単位・分単位で設定できます。エージェントのコードを変更する必要はなく、ゲートウェイ側の設定のみで適用されます。
なぜ重要なのか
AWSが引用するMcKinseyの調査によると、約80%の組織がすでにAIエージェントの「リスクのある挙動」を経験しており、セキュリティ・リスクへの懸念が、エージェント型AIの拡大における最大の障壁になっているとされています。従来のガードレール(安全策)は1回ごとの操作を個別に判断する設計のため、「個々の操作は問題なくても、一連の流れで見ると不適切」というパターンを見逃してしまう課題がありました。今回の一時的ポリシーは、この「連続した挙動」を評価対象にすることで、エージェントの自律性が高まるほど重要になる「行動全体の妥当性チェック」を可能にします。また、Forresterの調査ではコストの見通しにくさがエージェント型AIの本格導入を妨げる要因として挙げられており、レート制限はこの課題に直接対応するものです。
誰に関係があるのか
- AIエージェントを業務システムに組み込もうとしている企業のセキュリティ担当者・システム管理者
- Amazon Bedrock AgentCoreを利用している、または検討している開発チーム
- AIエージェントの利用コストや承認プロセスの管理に課題を感じている情報システム部門
仕事や業務でどう使えるのか
たとえば、社内で複数の業務エージェント(見積作成、購買申請、顧客対応など)を運用している場合、個々の操作が正当でも「合計金額が予算を超える」「決められた順序を無視して処理が進む」といった問題を、コード変更なしにゲートウェイ側の設定で防げるようになります。また、エージェントの暴走的な再試行(リトライループ)によるトークン消費や課金の急増も、ユーザー単位のレート制限で事前に抑制できます。承認担当者は「なぜブロックされたか」というログも確認できるため、AIエージェント導入の社内承認プロセスを簡素化できる可能性があります。
注意点
本発表は英語の技術ブログに基づく内容で、料金体系や日本国内での提供状況、対象プラン(リージョン対応や利用条件など)について、公式情報上では確認できませんでした。導入を検討する場合は、AWS公式ドキュメントや自社のAWSアカウントチームに直接確認することをおすすめします。また、Dogwoodはオープンソースの仕様・実装として公開されていますが、AgentCore以外での利用条件や対応範囲についても、この記事のみでは判断できません。
公式情報
- AWS Machine Learning Blog(公式):Control agent behaviors and cost beyond a single action: new capabilities in Amazon Bedrock AgentCore
関連キーワード
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- Dogwood(ポリシー言語)
- MCP(Model Context Protocol)





