概要
AWSは公式ブログ「AWS Machine Learning Blog」で、Amazon Bedrock AgentCoreに新しく追加された「temporal policies(時系列ポリシー)」について解説しています。これは、AIエージェントが実行するツール呼び出しを、単発のリクエストとしてだけでなく、セッション内の過去のやり取り(トラジェクトリ)も踏まえて認可判断できる仕組みです。
何が発表・更新されたのか
これまでのAgentCore Policyは、各リクエストを独立した出来事として、ステートレス(前後関係を持たない)に許可・拒否を判断する仕組みでした。しかし、AIエージェントは実行時にどのツールを、どんな引数で、どの順番で呼ぶかを自律的に決めるため、単発では安全に見える操作でも、直前の操作と組み合わせると危険になるケースがあります。
temporal policiesは、AgentCore Gatewayという、エージェントのコードの外側にある通信の出入り口で動作し、セッション内の過去の出来事を踏まえて現在のリクエストを許可(ALLOW)または拒否(DENY)する、状態を持つ(ステートフルな)認可ルールです。エージェント側からはポリシーの内容や状態を操作できないため、プロンプトの工夫やコードの不具合によって回避することができません。
具体的な活用例としては、以下が紹介されています。
– 前のツール呼び出しの結果と、次の呼び出しの引数が一致することを要求し、値の捏造(ハルシネーション)を防ぐ
– 決められた順番でツールを呼ぶこと(業務手順の順守)を強制する
– 高リスクな操作の前に、人間による承認イベントの記録を必須にする
– セッション内の累積金額など、リスクの積み上がりに上限を設ける
– データ取得から一定時間以内でなければ、そのデータを使った判断を認可しない(データの新鮮さの確認)
仕組みとしては、セッションはリクエストヘッダー(x-amzn-bedrock-agentcore-policy-session-id)で識別され、セッションIDと利用者の識別情報を組み合わせて一意のセッションとして扱われます。トラジェクトリの遡り範囲は最大24時間で、それより古い履歴は自動的に削除されます。また、ポリシー自体が変更された場合、既存のセッションは無効化され、常に最新のポリシーで評価される仕組みになっています。
なぜ重要なのか
AIエージェントは人間の代わりに複数のツールを連続して操作できる分、想定外の順序・組み合わせで動いてしまうリスクがあります。単発ごとの許可チェックだけでは、資金移動先の取り違えや、取引の暴走、矛盾した承認操作などを見逃す可能性があります。temporal policiesは、こうした「文脈依存の不正・誤動作」をエージェントの外側の仕組みで検知・防止できる点が特徴です。
誰に関係があるのか
- Amazon Bedrock AgentCoreを使ってAIエージェントを構築している開発者・エンジニア
- 金融・保険など、誤操作や不正の影響が大きい業務でAIエージェント導入を検討している企業の担当者
- AIエージェントのガバナンスやセキュリティ設計を検討する情報システム部門・セキュリティ担当者
仕事や業務でどう使えるのか
たとえば、顧客情報を取得してから資金移動を行うようなエージェントに対して、「直前に取得した口座番号と、資金移動時に使われる口座番号が一致しているか」を自動チェックする、といった使い方が考えられます。また、一定額以上の取引や、破壊的な操作(データ削除など)の前に、人間の承認イベントがセッション内に記録されているかを条件にすることも可能です。これにより、業務手順(SOP)の順守や、リスクの上限管理をエージェントの外側で一元的に強制できます。
注意点
公式情報上では、日本での提供状況や対象プラン・料金の詳細は確認できませんでした。また、本記事はブログ本文の一部(概要と仕組み、活用例)に基づく解説であり、記事内で紹介されている「プライベートバンキング向けポートフォリオエージェント」の具体的な設定例など、詳細な実装手順については公式ブログ本文を直接ご確認ください。
公式情報
Securing AI agents with temporal policies in Amazon Bedrock AgentCore(AWS Machine Learning Blog)
関連キーワード
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- アクセス制御・認可ポリシー
- Model Context Protocol(MCP)





