概要
Amazon Web Services(AWS)は、AI搭載の統合インテリジェンスサービス「Amazon Quick」に、新機能「Live Data in Apps(アプリ内のライブデータ)」を導入したと発表しました。これにより、AIが自動生成するWebアプリ(Quick Apps)が、管理された「Amazon Quick Sight」のデータセットをリアルタイムに照会できるようになります。従来は公開時点のデータが固定(スナップショット)されていましたが、今後はアプリを開くたびに最新の数値が表示されます。
何が発表・更新されたのか
今回のアップデートの中心は「Live Data in Apps」です。公開されたQuickアプリは、ユーザーが開くたびに、管理された(ガバナンスの効いた)Quick Sightデータセットへ毎回ライブで問い合わせを行います。
これまでQuick Appsでは、Jira・Slack・Google Driveなどのアクションコネクタ、Spaces内のドキュメント、Web検索、AI推論などは「表示時」に実行できました。しかし、業務指標を保持するSPICE(インメモリ)やDirect Queryのテーブル、つまりQuick Sightの構造化データセットだけは、アプリから「ライブ」で照会できませんでした。アプリが表示する数値は、AIエージェントがアプリを構築した時点で固定された「スナップショット」だったのです。
今回の変更により、自然言語でアプリを記述すると、AIエージェントが関連する整備済みデータセットを自動で見つけ出し、質問に答えるためのSQLを構築時に作成します。公開後は、アプリを開くたびに同じSQLが再実行され、数値が常に最新に保たれます。
なぜ重要なのか
最大のポイントは、クエリが「アプリを閲覧している本人として」実行されることです。これにより、各ユーザーは自分が閲覧を許可されているデータだけを正確に見ることができます。
公式情報によると、既存の行レベルセキュリティ(RLS:行ごとの閲覧制御)と列レベルセキュリティ(CLS:列ごとの閲覧制御)のルールが自動的に適用されます。管理者が新しい権限モデルを学び直す必要はなく、同意(コンセント)はクエリごとにサーバー側で強制されます。
これまで「先週クローズしたチケット数を地域別に」といった問い合わせに対し、担当者が毎週データを開き、クエリを書き、チャートを出力してSlackに貼る、という作業を繰り返していたケースも、チーム全員が開けば当日の答えが得られるアプリに置き換えられます。SQLに触れる必要はありません。
誰に関係があるのか
公式情報では、主に次の立場の人に向けた機能とされています。
- 業務運用のオーナー:自然言語でライブデータ上のアプリを構築できます。手動のデータ更新、スナップショット管理、独自API構築が不要になります。
- ナレッジワーカー(利用者):アプリを開くだけで、今この瞬間の数値を、自分に許可された範囲で確認できます。
- データ・アプリ管理者:既存のRLS・CLSルールが自動適用され、新しい権限モデルの学習は不要です。同意はクエリごとにサーバー側で強制されます。
仕事や業務でどう使えるのか
公式のユースケースでは、SaaS企業「AnyCompany」の地域営業リーダーが、契約更新(リニューアル)のレビューと対応を行う例が紹介されています。従来は、顧客ごとに正しいデータを揃えるのに1カ月規模の工数がかかっていた作業です。
新機能を使う場合の流れは、おおむね次の通りです。
- アプリを構築する:Amazon Quickの左ナビゲーションから「Apps」を選び、プロンプト欄に要望を入力します。例:「今四半期と今後6カ月の顧客更新一覧を作成し、顧客を選ぶとSaaS Salesデータから売上と利益を表示するアプリを作って」。
- データセットを承認する:エージェントが関連データセット(例:SaaS Salesデータセットと顧客更新データセット)を自動発見し、SQLを作成します。発見された各データセットについて、名前ごとに承認(同意)を求められます。
- プレビューと機能追加:承認後、アプリが構築されプレビューが表示されます。簡単なプロンプトで、企業の製品戦略ドキュメントと企業データを組み合わせ、AI推論による「この取引を進めるべきか」の要約を重ねて表示するといった機能追加も可能です。
- 公開・共有する:「Publish」を選び、Quickのユーザーやグループに閲覧権限で共有します。
- 閲覧する:利用者が初めてアプリを開くと、データセットへのアクセス同意を求められます。以降はアプリを開くたびに、各自の権限に応じた最新データが表示されます。
このように、営業リーダーがIT部門を待たずに、既にアクセス権を持つデータセットからアプリを作り、他のリーダーと共有できる点が強調されています。
注意点
公式情報で挙げられている前提条件・制約は次の通りです。
- 対応データセットモード:SPICE(インメモリ)とDirect Queryの両方に対応します。Direct Queryの対応データソースはドキュメントを参照してください。
- 同意(コンセント):各閲覧者は、初回利用時にデータセットごとに同意が必要です。構築者(ビルダー)は構築プロセス中にデータセットを承認します。
- 認証:閲覧者は認証済みのQuickユーザーである必要があります。ライブデータを使うアプリでは、匿名アクセスや一般公開アクセスはサポートされません。これは複数のレイヤーで強制されます。
- 必要なロール:ビルダー・利用者ともに、最低でも「Reader Pro(Professional)」ロールが必要です。
なお、本機能の日本での提供状況、料金、対応リージョンの詳細については、公式情報上では確認できませんでした。導入を検討する際は、最新の公式ドキュメントで確認することをおすすめします。
公式情報
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