概要
AWS DeepRacerは、強化学習で訓練したモデルを使って走る1/18スケールの自律走行レーシングカーで、機械学習の学習・開発向けの教育環境として提供されています。今回AWSは、DeepRacerデバイスに新しいブートローダー(起動プログラム)を導入し、開発者が独自のOS(オペレーティングシステム)をインストールできるようにしたと発表しました。これにより、サポートが終了した出荷時のUbuntu環境に代わり、新しいOSでデバイスを使い続けられるようになります。
何が発表・更新されたのか
出荷時のDeepRacerデバイスは、AWSが署名したOS(Ubuntu 16.04や20.04など)しか起動できない仕組みでした。しかしこれらのバージョンはすでにサポートが終了しており、実験や研究の継続が難しくなっていました。
そこでAWSは、オープンソースの「shim」プロジェクトをベースにした「開発者用ブートローダー(developer shim)」を新たに公開しました。これを使うと、独自の証明書を管理しながらカスタムOSや第三者製のディストリビューションをデバイスにインストールできます。開発者コミュニティ「deepracing.io」は、この仕組みを使ってUbuntu 24.04・ROS2 Jazzyベースの新しいディストリビューションをすでに作成しており、GitHub上で公開されています。
なぜ重要なのか
ハードウェアが正常でも、OSのサポート終了によって使えなくなってしまう機器は少なくありません。今回の仕組みにより、DeepRacerデバイスは最新のLinuxディストリビューションやカスタムドライバー、最新のソフトウェアスタックに対応できるようになり、ハードウェアの寿命を延ばせます。また、起動時に「DEVELOPER MODE」とモルス信号でライトが点滅するなど、セキュリティ状態を可視化する仕組みも用意されており、透明性を保ちながら開発の自由度を広げている点も特徴です。
誰に関係があるのか
- すでにAWS DeepRacerデバイスを保有している開発者・教育担当者
- 機械学習やROS2(ロボット向けソフトウェア基盤)を使った教育プログラムの運営者
- ハードウェアプロトタイピングや自律走行アルゴリズムの研究をしたいエンジニア
一般的な業務でAIサービスを使う担当者よりも、ハードウェア寄りの開発・研究に携わる方に関係が深い内容です。
仕事や業務でどう使えるのか
- 社内研修やハッカソンでDeepRacerを使っている場合、OSサポート切れによる利用停止を回避し、教材として使い続けられます。
- 独自のセンサーやドライバーを追加したり、最新のソフトウェアスタックで研究用途の実験を行ったりできます。
- コミュニティ配布のUbuntu 24.04ディストリビューションを使えば、自分でLinuxのインストールやブート設定を一から行わなくても、比較的簡単に最新環境へ移行できます。
注意点
- この作業はLinuxの起動プロセスや証明書管理に詳しい開発者を対象としています。専門知識がないと設定が難しい場合があります。
- カスタムOSの導入は元の構成に戻すことも可能ですが、作業前にAWS公式の「Update Your Vehicle」の手順を確認しておくと安心です。
- 公式情報上では、日本での提供状況や対象プランの詳細は確認できませんでした。
公式情報
詳細は公式ブログをご確認ください。
Custom OS installation now available on AWS DeepRacer devices(AWS Machine Learning Blog)
関連キーワード
- AWS DeepRacer
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