システムは、いつ何が起きても落ち着いて動き続けてほしいものです。しかし、本当に問題が起きたときに耐えられるかは、実際に試してみないと分かりません。そこで、あえて問題を起こして確かめるという考え方があります。これがカオスエンジニアリングです。この記事では、その意味や役割を初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
カオスエンジニアリングとは?
カオスエンジニアリングとは、システムが予期しない問題に対してどのくらい耐えられるかを確かめるために、あえて意図的に小さな障害を起こしてみる取り組みのことです。
たとえば、防災訓練で実際に避難してみることで、いざというときに動けるかを確かめるのに似ています。問題が起きてから慌てるのではなく、前もって試しておく、という発想だと考えると分かりやすいでしょう。
わざと一部を止めてみるなどして、システム全体が想定どおりに持ちこたえられるか、問題が起きても大きな影響にならないかを確認します。弱いところを前もって見つけるのが目的です。
カオスエンジニアリングが重要な理由
システムは複雑につながっているため、どこか一部に問題が起きたときに全体がどうなるかは、予想しきれないことがあります。カオスエンジニアリングは、こうした見えにくい弱点を、本番で困る前に見つけるのに役立ちます。
あらかじめ問題への耐性を確かめておくことで、いざというときにも落ち着いて対応できる、より強いシステムづくりにつながると考えられます。
カオスエンジニアリングが使われる場面
カオスエンジニアリングは、次のような場面で活用されることが多いと考えられます。
- 一部に問題が起きても全体が耐えられるか確かめたいとき
- システムの見えにくい弱点を前もって見つけたいとき
- 障害への備えが十分かを確認したいとき
- より強いシステムづくりを目指したいとき
カオスエンジニアリングの仕組み
カオスエンジニアリングは、おおまかに次のような流れで進められます。手順を順番に見ていきましょう。
- 正常なときの状態を、あらかじめ把握しておきます
- あえて起こす小さな問題と、その想定される影響を決めます
- 実際に問題を起こし、システムの様子を観察します
- 想定と違った点があれば、弱点として改善につなげます
こうした実験は、いきなり大きな範囲で行うのではなく、影響を抑えながら少しずつ試すのが基本です。安全に配慮して進めることが大切だとされています。
カオスエンジニアリングと似た用語との違い
カオスエンジニアリングは、似た言葉と混同されることがあります。違いを整理しておきましょう。
一般的なテストが「正しく動くか」を確認するのに対し、カオスエンジニアリングは「問題が起きても耐えられるか」を確認します。確かめたいことの方向が異なる、と考えると分かりやすいでしょう。
負荷テストが大きな負荷への耐性を確かめるのに対し、カオスエンジニアリングはさまざまな予期しない問題への耐性を広く確かめる、という違いがあります。
カオスエンジニアリングを理解するメリット
カオスエンジニアリングを理解しておくと、問題は起きるものという前提に立ち、前もって備えることの大切さが分かるようになります。これは、強いシステムづくりに役立つ視点です。
また、あえて試して弱点を見つける、という考え方は、さまざまな備えの場面に通じるものだと言えるでしょう。
カオスエンジニアリングの注意点
カオスエンジニアリングは、やり方を誤ると、実際に利用者へ影響を与えてしまうおそれがあります。影響を抑える工夫をしたうえで、慎重に進めることが望ましいとされています。
また、いきなり大規模に行うのではなく、小さく試して少しずつ広げていくことが大切です。十分な準備と備えのうえで取り組むものだと考えられます。
カオスエンジニアリングに関連する用語
カオスエンジニアリングをより深く理解するために、関連する用語もあわせて知っておくと役立ちます。
- 障害:システムが正常に動かない状態
- 可用性:サービスが使える状態を保てる度合い
- 負荷テスト:大きな負荷をかけて挙動を確認するテスト
- 信頼性:安定して動き続ける性質
まとめ
カオスエンジニアリングは、あえて意図的に小さな問題を起こして、システムが予期しない事態にどのくらい耐えられるかを確かめる取り組みです。見えにくい弱点を前もって見つけ、強いシステムづくりに役立ちます。
これからシステムの信頼性について学んでいくうえで、カオスエンジニアリングは備えの大切さを示す考え方と言えるでしょう。まずは「あえて試して弱点を見つける」という発想を押さえておくとよいでしょう。
よくある質問
カオスエンジニアリングは危なくないのですか?
やり方を誤ると利用者へ影響を与えるおそれがあるため、影響を抑える工夫をしたうえで慎重に進めることが大切です。いきなり大規模に行うのではなく、小さく試して少しずつ広げていくのが基本だと考えられます。
なぜわざと問題を起こすのですか?
本当に問題が起きたときに耐えられるかは、実際に試してみないと分からないためです。あらかじめ確かめておくことで、見えにくい弱点を本番で困る前に見つけられると考えると分かりやすいでしょう。
カオスエンジニアリングと普通のテストは違いますか?
違います。普通のテストが正しく動くかを確認するのに対し、カオスエンジニアリングは問題が起きても耐えられるかを確認します。確かめたいことの方向が異なると考えると分かりやすいでしょう。





