システム開発について学んでいくと、「デザインドック」という言葉に出会うことがあります。技術的な設計の方針をまとめ、関係者で話し合うための文書ですが、デザインという言葉から見た目のことかと思われがちで、誤解されやすい用語でもあります。この記事では、デザインドックの意味や役割、書き方の考え方や関連する用語までを、初心者の方にもわかりやすいように整理して解説していきます。
デザインドックとは?
デザインドックとは、システムやある機能をどのような技術的な方針で作るのかをまとめ、関係者で確認し合うための文書のことです。ここでの「デザイン」は見た目のデザインではなく、技術的な設計という意味で使われます。何を解決したいのか、どんな方針で作るのか、どんな選択肢を検討し、なぜその方針にしたのか、といった内容が含まれます。作り始める前に考えを書き出して共有し、よりよい方針を一緒に考えるための、いわばたたき台となる文書だと考えると分かりやすいでしょう。
デザインドックが重要な理由
システムを作り始めてから設計の方針に問題が見つかると、大きな手戻りが生じることがあります。デザインドックとして方針を文書にまとめ、作る前に関係者で話し合っておけば、早い段階で問題点や見落としに気づきやすくなります。また、なぜその方針にしたのかという考えを残しておくことで、後から振り返ったり、別の人が理解したりする際にも役立ちます。デザインドックは、よりよい設計を一緒に考え、認識をそろえるための大切な仕組みだと言えるでしょう。
デザインドックが使われる場面
デザインドックは、技術的な設計を検討するさまざまな場面で活用されています。代表的な例としては、次のようなものが挙げられます。
- 新しい機能を作る前に、技術的な方針をまとめて共有する場面
- 複数の方法を比べて、どの方針で進めるかを検討する場面
- 関係者から意見をもらい、設計をよりよくする場面
- なぜその方針にしたのかという判断の経緯を残す場面
デザインドックの仕組み
デザインドックにまとめる内容は、おおまかに次のように整理できます。
- 何を解決したいのか、背景や目的を整理します
- どんな方針で作るのか、考えている案をまとめます
- ほかに検討した選択肢や、それぞれの良し悪しを書き出します
- なぜその方針を選んだのかという理由を整理し、関係者で話し合います
デザインドックと似た用語との違い
デザインドックとよく混同される言葉に「設計書」があります。設計書が、決まった設計の内容を作業のためにまとめた文書であることが多いのに対し、デザインドックは作る前に方針を話し合い、合意を得るためのたたき台という性格が強いと考えると整理しやすいでしょう。また、見た目のデザインを扱う文書とも異なります。何のための文書で、どの段階で使うのかに注目すると、違いを整理しやすくなるでしょう。
デザインドックを理解するメリット
デザインドックの考え方を理解しておくと、作り始める前に方針を共有し、みんなで検討することの大切さをイメージしやすくなります。これは、開発に携わる人にとって特に役立つ知識ですが、ものづくりの進め方に関心がある人にとっても有用だと言えるでしょう。考えを早めに書き出して共有する習慣があれば、手戻りを減らし、よりよい方針を導きやすくなります。早い段階で認識をそろえる力の基礎になる考え方だと捉えると分かりやすいでしょう。
デザインドックの注意点
デザインドックを作る際には、いくつか注意したい点があります。完璧な文書を目指して作るのに時間をかけすぎると、本来の目的である早めの共有や検討が遅れてしまうことがあります。まずは考えを書き出して話し合うことを優先するとよいでしょう。また、検討した選択肢や理由を残しておかないと、後から振り返るときに役立ちにくくなります。なお、書き方や項目は組織やチームによってさまざまであり、決まった唯一の形があるわけではない点も押さえておくとよいでしょう。
デザインドックに関連する用語
デザインドックをより深く理解するために、あわせて知っておくと役立つ関連用語を紹介します。
- 設計書:設計の内容をまとめた文書
- ADR:設計上の重要な決定とその理由を記録する文書
- 要件定義:何を実現すべきかを整理する工程
- レビュー:内容を関係者で確認し合うこと
- ドキュメント:内容を書き記した文書全般
まとめ
デザインドックは、システムやある機能をどのような技術的な方針で作るのかをまとめ、作る前に関係者で話し合うための文書です。ここでのデザインは見た目ではなく技術的な設計を指します。早い段階で方針を共有し検討することで、手戻りを減らし、よりよい設計を一緒に考えられます。完璧を目指しすぎず、まず共有することが大切です。デザインドックを理解しておくと、早めに認識をそろえる進め方が身につくでしょう。
よくある質問
デザインドックのデザインとは見た目のことですか?
いいえ、ここでのデザインは見た目のデザインではなく、技術的な設計という意味で使われます。システムをどんな技術的方針で作るかをまとめた文書を指すため、見た目とは別のものだと考えると分かりやすいでしょう。
デザインドックと設計書は何が違いますか?
設計書は決まった設計の内容を作業のためにまとめた文書であることが多いのに対し、デザインドックは作る前に方針を話し合い、合意を得るためのたたき台という性格が強いです。使う段階や目的の違いで捉えると整理しやすいでしょう。
デザインドックには決まった書き方がありますか?
決まった唯一の形があるわけではなく、組織やチームによってさまざまです。何を解決したいのか、どんな方針か、なぜそれを選んだのかといった要素を、自分たちの目的に合った形で整理するとよいと考えると分かりやすいでしょう。

