概要
AWS Machine Learning Blogにて、Formula 1®(F1)がAmazon Bedrock AgentCoreを活用したエージェント型AI(自律的に判断・作業を進めるAIの仕組み)で、データ基盤の運用を効率化した事例が公開されました。新しいデータソースの取り込みにかかる時間を、従来の6〜8週間から約40分のコード生成(+数時間のデプロイ・レビュー)まで短縮したという内容です。
何が発表・更新されたのか
F1は、ファンとの接点(チケット販売、F1 TV、SNS、グッズ販売など)から得られるデータを統合管理する「Customer 360」というマーケティング基盤を運用しています。この基盤に新しいデータソースを追加する作業は、スキーマ設計・データ品質チェック・GDPR(欧州の個人データ保護規則)分類・ガバナンス設定などをすべて人手で行う必要があり、1件あたり6〜8週間、統合待ちの案件が18か月分積み上がっていました。
これを解決するため、F1とAWSは2026年初頭に「Data Accelerator」というソリューションを共同開発しました。Amazon Bedrock AgentCore上で動くAIエージェントが、業務要件を記したドキュメント(BRD)を読み込み、インフラのコード、データ変換処理、ガバナンスポリシー、GDPR分類タグまでを自動生成します。生成された内容はGitHubへのプルリクエストとして提出され、担当エンジニアが確認・承認する流れになっています。
さらに、上流のデータ提供元がデータ構造を変更した際にそれを検知して対応する「スキーマ変更の自動検知」、データ運用状況やAIエージェントの動作履歴を一元的に確認できる「可観測性(オブザーバビリティ)」機能、Amazon SageMaker Unified Studioを使った統一的なデータアクセス環境なども整備されました。
なぜ重要なのか
この事例は、AIエージェントが単なる補助ツールではなく、コード生成からガバナンス対応までを含む「業務プロセス全体」を担えることを示しています。公式ブログによれば、AIエージェントが作業の95%を自律的に処理しているとされ、人手が主にレビュー・承認の役割に変わっている点が特徴です。データ統合という地味ながら重要な業務が、週単位から分単位に短縮された点は、他業界でも参考になる可能性があります。
誰に関係があるのか
- データ基盤やマーケティングテクノロジー(MarTech)を運用するIT部門・データエンジニアリング担当者
- 個人データの取り扱いやGDPR対応など、ガバナンス・コンプライアンス業務に関わる担当者
- 生成AI・AIエージェントの企業導入を検討している情報システム部門や経営層
仕事や業務でどう使えるのか
自社でも複数のデータソースを継続的に取り込んでいる場合、AIエージェントによる「要件文書からのコード自動生成+人によるレビュー承認」という運用モデルは参考になります。特に、データ項目ごとの個人情報分類やガバナンスタグ付けを自動化する仕組みは、コンプライアンス対応の負荷軽減につながる可能性があります。また、データ運用状況やAIエージェントの作業履歴を一つの画面で追跡できる仕組みは、障害対応やトラブルシューティングの効率化にも応用できそうです。
注意点
本記事の内容はF1とAWSが共同で構築した専用ソリューションの事例であり、汎用的な製品としてすぐに導入できるものではありません。公式情報上では、日本での提供状況や、同様の仕組みを他社が利用する際の対象プランや料金についての詳細は確認できませんでした。導入を検討する場合は、AWSの公式発表や担当窓口への確認をおすすめします。
公式情報
関連キーワード
- Amazon Bedrock AgentCore
- AIエージェント
- SageMaker Unified Studio
- データガバナンス
- GDPR対応





