概要
n8n(ノーコードでワークフローを自動化できるツール)で、本格的なAIエージェントを動かせる新しいコミュニティノードが登場しました。AWSが提供する「Amazon Bedrock AgentCore harness(ハーネス)」を、n8nの画面上から利用できるようにするものです。公式ブログによると、AgentCore harnessは一般提供(GA)が開始され、n8n向けのノード @aws/n8n-nodes-agentcore を通じて、記憶(メモリ)やツールを備えたエージェントをコードを書かずに構築できるとされています。
何が発表・更新されたのか
大きく2つが発表されました。
1つ目は、Amazon Bedrock AgentCoreの機能である「AgentCore harness」が一般提供(GA)になったことです。ハーネスとは、AIモデルの周りで実際の作業を支える「土台(足場)」のことです。モデルが推論を行う一方で、ハーネスは処理の繰り返し(オーケストレーション)、ツールの呼び出し、コンテキスト(会話の文脈)の管理、複数回のやり取りをまたいだ状態保持、失敗からの復旧、セッションごとの分離を担います。
2つ目は、このハーネスをn8nのビジュアルエディタから使えるオープンソースのコミュニティノード @aws/n8n-nodes-agentcore の提供です。MITライセンスのオープンソースで、AWSのオープンソースエージェントフレームワーク「Strands Agents」が土台になっています。
なぜ重要なのか
n8nに標準搭載されている「AI Agentノード」は、ワークフローの中で1回だけモデルを呼び出す用途に向いています。しかし、本番運用のエージェントには、1回の実行で終わらない永続的な記憶、ブラウザやコードサンドボックスといった実際に使えるツール、長めのタスクをこなす余裕が必要です。こうした土台を自作するのは大きな手間でした。
今回のノードは、この土台を「マネージド(AWS側が管理する)」機能として提供します。設定でエージェントを定義するだけで、AWSが処理ループを組み立てて実行してくれるため、インフラやエージェントのコードを書かずに済むのがポイントです。
誰に関係があるのか
- n8nでワークフローを自動化している実務担当者
- コードをあまり書かずにAIエージェントを試したい中小企業のチーム
- すでにAWSを業務で使っているエンジニアや運用担当者
特に、n8nの既存の「AWS Lambda」「Amazon S3」ノードと同じ認証パターンを使うため、AWSサービスをn8nで自動化している方には扱いやすい設計です。
仕事や業務でどう使えるのか
公式ブログでは、手順を追ってエージェントを組み立てる例が紹介されています。
変更点(従来との違い)
– 標準のAI Agentノードは「1回のモデル呼び出し」向き。今回のノードは、記憶・ツール・スキルを含むハーネス全体をn8nエディタから使えます。
– モデルは1社に縛られません。Amazon Bedrock、OpenAI、Google Gemini、LiteLLM対応プロバイダーに対応し、同じ会話の途中でプロバイダーを切り替えることもできるとされています。
使い方の流れ
1. n8nのノードパネルで「Amazon Bedrock AgentCore」を検索して追加・インストール(本記事は node バージョン0.3を使用)。
2. 認証情報「Amazon Bedrock AgentCore API」を作成し、アクセスキー・リージョン・実行ロールのARNを設定してテスト。
3. ノードには「Harness ARN」という重要な項目が1つあります。空欄にすると初回実行時にエージェントを自動作成し、以降は再利用・更新します。既存のARNを貼り付ければ、n8n外で作ったエージェントを直接呼び出せます。
4. メモリは初期状態で有効。同じ「Session ID」を使い回すと会話が継続します。例として、旅行コンシェルジュのエージェントに「温かいビーチが好きでベジタリアン」と伝え、次のターンで好みに合った提案を引き出す例が示されています。
5. 「Actor ID」を使うと、ユーザーごとに記憶を分離できます。エージェントは共通設定、Actor IDでユーザー単位、Session IDで会話単位を分ける階層構造です。
このほか、コードインタープリター(コード実行)ツールの追加、スキルの付与、自分のVPC(仮想プライベートクラウド)内でエージェントを非公開に動かす方法も解説されています。
注意点
- 初回実行はエージェントの準備に約30〜60秒かかるとされています。
- AgentCore harness本体、自動で用意されるマネージドのメモリストア、(利用する場合の)VPCエンドポイントは、いずれも課金対象のAWSリソースです。料金はAgentCoreのドキュメントを確認し、検証後は公式手順の「Clean up(後片付け)」でリソースを削除することが推奨されています。
- 認証は、可能な限りIAM Identity CenterやAWS STSの一時認証情報を使い、最小権限の原則に従うことが推奨されています。認証情報をソース管理にコミットしないよう注意が必要です。
- 利用には、対応リージョンでAgentCore harnessにアクセスできるAWSアカウントと、呼び出し元の権限、実行時にハーネスが引き受けるIAM実行ロールが必要です。
- 日本での提供状況や対応リージョンの詳細は、公式情報上では本記事の範囲で確認できませんでした。利用可否は必ず公式のリージョン情報でご確認ください。
今後について:設定だけでは足りない場合、ハーネスをStrandsのコードにエクスポートして、同じシステム上で運用を続けられるとされています。ノーコードから始めて、必要に応じてコードへ拡張できる点が特徴です。
公式情報
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