マイクロサービスの設計について学んでいると「Sagaパターン」という言葉に出会うことがあります。複数のサービスにまたがる処理を、どうやって正しくまとめるかという課題に対する考え方です。この記事では、Sagaパターンがどのような仕組みなのか、なぜ必要とされるのかを初心者向けにやさしく解説します。
Sagaパターンとは?
Sagaパターンとは、複数のサービスにまたがる一連の処理を、いくつかの小さな処理の連なりとして実行し、途中で失敗した場合には取り消し処理を行って全体の整合性を保とうとする設計の考え方です。
たとえば「注文」「在庫の確保」「決済」が別々のサービスに分かれている場合、これらをひとまとめにして安全に進めるのは簡単ではありません。Sagaパターンは、こうした分散した処理をうまく扱うための工夫だと考えると分かりやすいでしょう。
Sagaパターンが重要な理由
マイクロサービスでは、機能ごとにサービスが分かれているため、一つの大きな処理が複数のサービスをまたぐことがよくあります。このとき、従来のように一括でまとめて確定する方法が使いにくくなります。
もし途中のどこかで失敗したまま放置すると、片方だけ処理が進んでデータの状態がちぐはぐになってしまいます。Sagaパターンは、失敗時に取り消し処理を行うことで、こうした不整合を防ごうとする点で重要だと言えるでしょう。
Sagaパターンが使われる場面
Sagaパターンは、一つのサービスだけで完結する処理ではなく、複数のサービスが協力して一連の流れを完成させるような場面で力を発揮します。代表的なものを見てみましょう。
- 注文・在庫・決済など複数サービスにまたがる業務処理
- マイクロサービスで一連の流れを安全に進めたい場合
- 途中で失敗したときに、それまでの処理を取り消したい場合
- サービスをまたいでもデータの整合性を保ちたい場合
Sagaパターンの仕組み
Sagaパターンの考え方は、大きな処理を小さなステップに分け、それぞれの成功と失敗に応じて進め方を変えるというものです。基本的な流れを順を追って見ていきましょう。
- 全体の処理を、サービスごとの小さなステップに分けます。
- 各ステップを順番に、または出来事をきっかけに実行していきます。
- あるステップが成功したら、次のステップへ進みます。
- 途中で失敗した場合は、それまでに完了したステップを取り消す処理(補償処理)を行います。
このように、成功すれば前進し、失敗すれば取り消すという形で全体をまとめるのがSagaパターンの基本です。
Sagaパターンと似た用語との違い
よく比較されるのが、複数の処理をまとめて一度に確定する従来のトランザクションです。これは一つのデータベース内では強力ですが、サービスが分かれた環境では扱いにくくなります。Sagaは取り消し処理で整合性を保つ点が異なります。
また、CQRSやイベントソーシングと組み合わせて語られることもありますが、それぞれ目的は別です。Sagaは「分散した処理の流れと失敗時の取り消し」に焦点がある、と整理すると分かりやすいでしょう。
Sagaパターンを理解するメリット
サービスが分かれていても、一連の処理を安全に進めやすくなります。
途中で失敗しても取り消し処理で状態を戻せるため、データの不整合を防ぎやすくなります。各サービスの独立性を保ちながら全体をまとめられる点も利点と言えるでしょう。
Sagaパターンの注意点
Sagaパターンでは、失敗時の取り消し処理(補償処理)を一つひとつ設計する必要があり、考えることが増えて複雑になりやすい点に注意が必要です。
また、処理が複数に分かれて進むため、一時的にデータの状態が完全には揃っていない瞬間が生じることがあります。こうした特性を理解したうえで設計することが大切だと考えるとよいでしょう。
Sagaパターンに関連する用語
- マイクロサービス:機能ごとに小さく分けて構築する設計スタイル
- トランザクション:一連の処理をひとまとまりとして扱う仕組み
- イベントソーシング:変更を出来事として記録していく考え方
- 補償処理:失敗した処理を打ち消すための取り消し処理
まとめ
Sagaパターンは、複数のサービスにまたがる処理を小さなステップの連なりとして実行し、失敗時には取り消し処理で整合性を保つ設計の考え方です。マイクロサービスで安全に処理を進めるために役立ちます。
一方で補償処理の設計など複雑さも伴います。まずは「分散した処理を、成功なら前進・失敗なら取り消しでまとめる仕組み」というイメージをおさえておくとよいでしょう。
よくある質問
Sagaパターンと通常のトランザクションはどう違いますか?
通常のトランザクションは一つのデータベース内で処理をまとめて確定します。Sagaは複数サービスにまたがる処理を対象とし、失敗時に取り消し処理を行って整合性を保つ点が異なります。
補償処理とは何ですか?
補償処理とは、すでに完了したステップの効果を打ち消すための取り消し処理のことです。途中で失敗したときに、それまで進めた処理を元に戻し、全体の整合性を保つために行われます。
Sagaパターンはいつ使うとよいですか?
注文・在庫・決済のように複数のサービスにまたがる一連の処理を、安全にまとめて進めたい場合に向いています。サービスが分かれた環境で整合性を保ちたいときに検討されます。

