概要
Zapier公式ブログで、サードパーティリスク管理(TPRM:Third-Party Risk Management、社外の取引先やツールがもたらすリスクを管理する取り組み)の完全ガイドが公開されました。ベンダーや外部ツールが自社のデータやシステムに持つ「デジタルな鍵」をどう管理するか、その考え方と実践方法をまとめた内容です。
何が発表・更新されたのか
これは新しいAI製品の発表ではなく、TPRMの基礎から実践までを解説する解説記事です。記事では以下のポイントが体系的に整理されています。
- TPRMとは何か:外部のベンダー・サプライヤー・請負業者・ソフトウェア・サービス提供者などが持つリスクを「特定・評価・監視・低減」する継続的なプロセス。
- なぜ重要か:規制対応、事業継続、ベンダー関係、サイバーセキュリティの4つの観点。
- 5種類のサードパーティリスク:サイバーセキュリティ/コンプライアンス・規制/オペレーション/評判(レピュテーション)/財務。
- TPRMのライフサイクル:ソーシングとデューデリジェンス→リスク分析と対策→契約→(以降、監視やオフボーディングへ続く一連のループ)。
記事内では、2025年のデータ侵害の30%にサードパーティが関与していた(Verizonのデータ侵害調査報告より)という数字や、米SECのサイバーセキュリティ規則(2023年12月発効) により米国上場企業が重大インシデントを4営業日以内に開示する必要がある、といった具体例も紹介されています。
なぜ重要なのか
自社のセキュリティがどれだけ強固でも、その守りは取引先の会社にまでは及びません。取引先は独自のサーバーを、独自のチームで、自社が確認・承認していない予算で運用しています。
記事が指摘するのは、ベンダーで起きた問題は自社の問題として跳ね返ってくるという点です。ベンダーの情報漏えいが、自社のデータ・顧客・評判にまで波及し、製品ローンチの停止や業務停止、ユーザーデータの流出につながる恐れがあります。「技術的には自社のせいではない」と主張しても、顧客にはその区別は見えません。
誰に関係があるのか
- 多数の外部ツールやクラウドサービスを利用している中小企業の実務担当者
- ベンダー管理・調達・情報システムを担当する方
- 規制対応やコンプライアンスに関わる方
- SaaSやフリーランスに業務データへのアクセス権を渡している事業者
特に、生成AIツールをはじめ外部サービスの利用が増えている企業ほど、「誰がどの鍵を持っているか」を把握する重要性が高まります。
仕事や業務でどう使えるのか
記事のライフサイクルの考え方は、そのまま実務のチェックリストとして使えます。
- ソーシングとデューデリジェンス:ベンダーが扱うデータ・システム、業務上の重要度を洗い出し、セキュリティ質問票やSOC 2レポートなどで管理体制を評価します。記事は「常識を働かせる」ことを勧めています。顧客データベース全体を預けるベンダーには徹底した審査を、議事録をToDo化するだけのアプリには軽めの対応を、とリスクに応じて調査の重さを分ける(ティア分け)のが要点です。
- リスク分析と対策:情報を分析し、対策後に残る「残存リスク」を管理します。ギャップの是正要求、アクセス範囲の制限、あるいは取引を見送る判断も選択肢です。
- 契約:リスクに関する決定を、契約で強制力のある形にします。SLA(サービス品質保証)、セキュリティ・プライバシー要件、侵害通知の期限、監査権、役割分担などを明記し、規制対象データを扱う場合はデータ処理契約(DPA)なども締結します。契約終了時の手続き(オフボーディング)を後回しにしないことも強調されています。
注意点
- この記事はZapierのブログによる解説記事であり、新機能や新サービスの発表ではありません。
- 記事内で触れられているSECの規則やGDPR・HIPAAなどは主に米国・EUの制度です。日本国内での適用範囲や具体的な対応義務については、公式情報上では確認できませんでした。自社に関係する規制は、各法令の一次情報や専門家に確認してください。
- Verizonの30%という数値やSECの日付は、記事が引用する情報です。実務判断の際は元データを直接確認することをおすすめします。
公式情報
- Zapier Blog「Third-party risk management (TPRM): A complete guide」:https://zapier.com/blog/third-party-risk-management
関連キーワード
- TPRM(サードパーティリスク管理)
- ベンダーリスク管理
- サイバーセキュリティ
- コンプライアンス
- SOC 2 / データ処理契約(DPA)





