概要
Vercelは2026年7月12日、AIモデルのルーティング基盤「AI Gateway」を通過したトークン量や支出データをまとめた月次レポート「AI Gateway Production Index」の7月版を公開しました。今回は2026年6月分のデータが対象で、オープンウェイトモデル(重みが公開され誰でも利用・改変できるモデル)の利用比率が急伸したことや、モデルごとのトークン単価が横ばいになったことなどが報告されています。
何が発表・更新されたのか
公式ブログによると、6月のAI Gatewayではトークン量が前月比29%増、支出が前月比27%増となりました。5月にはトークン単価が約20%上昇していましたが、6月は横ばいに転じています。
特に目立つのが、オープンウェイトモデルの躍進です。オープンウェイトモデルが占めるトークン量の割合は4月の11%から6月には29%まで拡大した一方、支出に占める割合は4%未満にとどまりました。中でもDeepSeekはトークン量シェア22.6%に達し、Googleにわずか2ポイント差の3位につけています。また、6月にリリースされたばかりのGLM 5.2(Z.ai提供)も、公開からわずか2週間でゲートウェイ上位モデルの一角に食い込みました。
一方で支出面では、Anthropicがトークン量32%でありながら支出シェア61%を占め、コーディングエージェントや業務エージェントなど「ミスが許されない」高リスク用途では72%以上のシェアを握っています。
モダリティ(形式)別では、画像生成はOpenAIの「GPT Image」が53%、Googleの「Nano Banana」が39%を占め、両者で9割超を占有。動画生成では中国系ラボ(ByteDance、Kling、Alibaba)が支出の約3分の2を占め、xAIの「Grok Imagine」が生成本数で42%とトップでした。
また、Anthropicが6月9日にリリースした「Claude Fable 5」は、公開4日でOpus 4.8のリクエスト数の22%に達する急速な普及を見せましたが、6月12日に米国の輸出規制の対象となり、月末までアクセスが停止。規制解除後の7月1日に利用が再開されたことも報告されています。
なぜ重要なのか
このレポートは、実際の企業利用データに基づくため、「どのAIモデルが実務でどれだけ使われているか」を示す貴重な指標です。オープンウェイトモデルが低コストで高ボリュームの処理を担い、クローズドな最先端モデルが高リスク・高付加価値の業務に使われるという「使い分け」の傾向が数値として裏付けられた点が注目されます。
誰に関係があるのか
複数のAIモデルを使い分けて業務に導入している企業の開発者、AI活用の予算管理を担うIT部門・経営層、そしてどのモデルを採用すべきか検討している中小企業の実務担当者に関係する内容です。
仕事や業務でどう使えるのか
このレポートは特定の製品発表ではなく市場動向データですが、以下のような参考になります。
- 大量処理が必要な業務(要約、分類など)には、コストの低いオープンウェイトモデルの活用余地があると判断する材料になります。
- 一方でコーディング支援や社内業務エージェントなど、誤りの影響が大きい業務では、依然として高価格帯のフロンティアモデル(Anthropicなど)が選ばれている傾向が分かります。
- 画像・動画生成では提供元によって強みが分かれるため、用途に応じてモデルを比較検討する参考になります。
注意点
本レポートはVercel AI Gatewayを経由した匿名・集計データに基づくものであり、AI市場全体を網羅した統計ではありません。支出は公開されているリスト価格(市場価格)を基に算出されており、実際の契約条件によって異なる場合があります。また、公式情報上では、日本での提供状況や対象プランの詳細は確認できませんでした。
公式情報
AI Gateway Production Index — July 2026(Vercel公式ブログ)
関連キーワード
- AI Gateway
- オープンウェイトモデル
- DeepSeek
- Claude(Anthropic)
- GPT Image
- トークン単価





