概要
Vercelは2026年8月4日、コード実行環境「Vercel Sandbox」のファイアウォール機能をすべて、無料の「Hobby」プランでも利用できるようにしたと発表しました。これまで本番環境向けに提供されていたネットワーク分離機能が、無料利用者にも開放された形です。
何が発表・更新されたのか
Vercel Sandboxは、AIが生成したコードや信頼できないコードを安全に実行するためのサンドボックス(隔離された実行環境)です。今回のアップデートにより、Hobbyプランのユーザーも以下のファイアウォール機能を使えるようになりました。
- allow-all(全許可)/deny-all(全拒否)/カスタムのネットワークポリシーを設定できる
- ドメインやIPアドレス単位でルールを定義できる
- パス、メソッド、クエリ文字列、ヘッダーで通信範囲を細かく絞る「マッチャー」機能
- サンドボックス作成時に
networkPolicyを渡すことで、送信先を制限できる - Sandbox CLI(コマンドラインツール)から、サンドボックスを再起動せずにポリシーをその場で更新できる
さらに、ファイアウォール自体が送信リクエストにシークレット(認証トークンなど)を付与する仕組みも用意されています。これにより、サンドボックス内のコードは「AI Gateway」のような認証が必要なサービスを、トークンそのものを一切見ることなく呼び出せます。カスタムポリシーを使えば、認証情報の受け渡しや、自分で管理するインフラを経由したリクエストの中継(プロキシ)も安全に行えます。
なぜ重要なのか
AIが生成したコードを実行する場面では、意図しない外部通信によって情報が漏れる「データ漏洩(exfiltration)」のリスクが常につきまといます。今回のアップデートは、このリスクを抑えるネットワーク制御機能を、有料プランだけでなく無料のHobbyプランでも使えるようにした点がポイントです。個人開発者や小規模なプロジェクトでも、本番環境と同水準のセキュリティ対策を導入できるようになります。
誰に関係があるのか
- AIエージェントやAIが生成したコードを実行するアプリケーションを開発している方
- Vercelを無料のHobbyプランで利用している個人開発者・小規模チーム
- 社内ツールやプロトタイプに、外部APIを安全に呼び出す仕組みを組み込みたい実務担当者
仕事や業務でどう使えるのか
たとえば、社内でAIエージェントに自動的にコードを書かせ、そのまま実行させたい場合、意図しない外部サイトへの通信や、秘密情報の流出が心配になります。この機能を使うと、通信先を必要なドメインだけに絞り込み、かつAPIキーなどの認証情報をコード自体には持たせずに済みます。たとえば「AI Gateway」だけに通信を許可し、それ以外への通信はすべて拒否する、といった設定が可能です。
Sandbox CLIを使えば、稼働中のサンドボックスに対しても、再起動せずにポリシーを「全拒否」に切り替えるなど、状況に応じた柔軟な運用ができます。
注意点
本記事の内容は公式Changelogに基づくものです。Hobbyプラン以外のプラン(Pro、Enterpriseなど)での提供状況の詳細や、日本国内での利用における特記事項については、公式情報上で明確な記載が確認できませんでした。導入を検討する場合は、公式のSandboxファイアウォールドキュメントを併せてご確認ください。
公式情報
Full Sandbox egress firewall now available on Hobby plan(Vercel Changelog)
関連キーワード
- Vercel Sandbox
- ネットワークポリシー
- AI Gateway
- AIエージェント
- 生成AI
- サンドボックス実行環境





