概要
Zapier公式ブログは2026年7月13日、同社の月間表彰制度「Zappy Award」の2026年6月受賞者3名を発表しました。フリマアプリ「Mercari」、クリエイター支援サービス「Patreon」、保険関連企業「Tivly」の担当者が、それぞれZapierを使って社内の知識やコンテキスト(背景情報)をAIと人が使える形にまとめた取り組みが評価されています。
何が発表・更新されたのか
今回選ばれたのは、Mercariのシステムマネージャー Eric McNulty氏、Patreonのシニアコミュニティ教育マネージャー Blair Mishleau氏、Tivlyの営業ディレクター Amber Sharp氏の3名です。
- Eric氏は、月間約12万件の問い合わせに対応する「サポートオーケストレーションシステム」を構築。約90ステップからなるZapierの自動化フローが、Google Sheets上のプロンプトやポリシーを参照しながらチケットを分類し、月間約4.7万件をAI単独で解決、約97%のチケットで返信を実施しているとのことです。
- Blair氏は、社内のヘルプ記事やFigmaファイル、用語集などを横断検索できるSlack上のナレッジアシスタント「’Treon」を開発。回答の根拠を必ず元資料に紐づけ、社員からのフィードバックで内容を継続的に見直す仕組みを作り、公開以降1,300件以上の質問に対応しました。
- Amber氏は、年間400〜500件の新規契約を担当する中で、営業からカスタマーサクセス部門への引き継ぎ時に発生する情報の欠落を解消する3段階のシステムを構築。問い合わせの自動分類、社内知識に基づくチャットボット対応、引き継ぎ時のスコアカード自動作成により、月あたり約25時間かかっていた引き継ぎ準備作業を1時間未満に短縮したとしています。
なぜ重要なのか
公式ブログは、3名の取り組みに共通する要素として「散らばった社内知識を、AIと人の双方が使える“共有コンテキスト”に変換したこと」を挙げています。AIは見えている情報しか扱えないため、顧客対応履歴や社内ポリシーが特定の人の頭の中や古い文書に埋もれていると、AIは推測に頼らざるを得ず、精度が下がるという課題感が背景にあります。今回の事例は、AIを万能な自動応答として使うのではなく、判断基準や参照情報を明確に整えたうえで限定的な業務フローに組み込む設計の重要性を示すものといえます。
誰に関係があるのか
- カスタマーサポートや問い合わせ対応を担当する部門
- 社内マニュアルやナレッジ管理に課題を感じている情報システム・総務部門
- 営業から他部門への引き継ぎ業務を担う営業・カスタマーサクセス担当者
- Zapierなどの自動化ツールを使って業務改善を検討している中小企業の実務担当者
仕事や業務でどう使えるのか
今回紹介された事例は、AIをそのまま使うのではなく「判断のもとになる情報(ポリシー、FAQ、過去の対応履歴など)」をスプレッドシートやテーブルに整理し、そこをAIが参照する形にしている点が共通しています。自社での応用を考える際は、まず問い合わせ内容やナレッジをカテゴリごとに整理し、AIに渡す前提情報を「誰が」「どこで」更新できるかを明確にすることが参考になりそうです。また、AIの確信度が低い場合は自動的に人へ引き継ぐ設計にしている点も、業務で誤回答リスクを避けるうえで参考になります。
注意点
本記事はZapierが自社ツールの活用事例として紹介した内容であり、各社の数値(解決件数や削減時間など)は公式ブログに基づく自己申告の実績です。同様の効果が他社でも得られるかどうかは、業務内容やデータ整備状況によって異なります。また、料金プランや日本語対応、日本国内での利用状況など、公式情報上では確認できない項目については本記事では触れていません。
公式情報
Zapier Blog「Meet the June 2026 Zappy Award monthly winners」
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